次回ライブ

■次回ライブ■
2017年12月19日(火) 下北沢BIG MOUTH

2014年6月9日月曜日

6月2日甲府ハーパーズミル再訪

山梨は甲府にあるハーパーズミルという喫茶店に行きました。友人から車を借りて、4人乗りでのドライブ。行きの高速に乗るところで若干のトラブルがありつつも(危険な事はありません、少しおとぼけの愛らしいトラブルですね)お昼過ぎにはお店に到着。

ここのマスターとお店にまつわる数々の逸話は色々な人が文章に書いていますし、それこそお店の素敵なホームページもありますから、気になる方は調べて頂ければと思います。とにかく僕は昨年11月、よよよ_ゐ君に導かれてこのお店で歌を歌わせてもらい、甲府の温かい人々と触れ合うことができました。また、僕の音楽人生に大きな影響を与えてくれた友部正人さん所縁の場所でもあるということ。そしてマスターの坂田さんがある種の魔法使いであるということ、それらが僕をここに訪れさせる理由です。

しばらく休業していたお店も、六月から坂田さんの息子さんが取り仕切る形で営業再開。穏やかに陽の差し込む店内で名物のカレーを頂きながら、暫し音楽についてや恋愛についてや人生についてを語り合ったり。大した話ではないけれど、僕には自分の父親の思い出が無くて、ただしそれについて何の感情もないのですけれど(以前も書いた通り、これは母が頑張って育ててくれたお陰です)、坂田さんと話していると、父親に育てられるというのも悪くないんだろうなと思ったりするものです。男は大抵ロマンチストで、偏執的で、女性に弱く、情けなくて、それでいて強がりで、優しいものです。いい男とはそういうものです。子供の頃から目の前にいつもそういう男がいるという環境は、特に男子にとって、憧れであり乗り越えるべき壁であるという意味で、とても重要なことなのでしょうと感じる。現在の僕には僕とエコを深く愛してくれている父が勿論いるけれど、また別の観点で、何となく越えなければいけない父親的要素を坂田さんに感じるのは、彼もまた現役の歌い手であり、希代のロマンチストであるからなのかもしれません。

さて、カレーを頂いた後は、坂田さんの秘密基地に移動して、二人きりで「木」についてお話しさせてもらいました。木を叩いて出る音を聞き比べたりしました。そんな事をしながら僕は、やはり音楽というのは人間が営む行為の中で最も純粋で美しいものの一つだなと感じていました。
自然界に存在する音を平均化し、音階として操るようになった人間の能力は本当に凄いと思いますが、音楽自体は決して人間が生み出したものではありません。自然界にある全ての音でコミュニケーションをとる仕方それら全てが音楽であり、それは原始の動物から絶える事なく継続されてきた行為なのでしょう。

例えば我々がギターを弾く時、それはギターという楽器を弾くのではなく、木を鳴らしているということ。つなぎ合わせられた木々が共鳴し、時に反目しあい、空気を振動させて音になるということ。その振動を、人間が平均律という音階のルールによってコントロールしたものが、僕が弾いているギターという楽器の音なのです。つまり、木を叩いて遠くにいる仲間に何かを知らせようとした(のかもしれない)様々な動物たちと、やっていることは変わらないということです。木を鳴らして、コミュニケーションをとる。ここには二つの本質的な教訓を読み取れます。つまり、音楽とは「自然つまり世界そのものを鳴らすこと」であり、音楽とは「誰かとコミュニケーションをとること」であるということです。そのどちらを忘れてしまっても、音楽はきっと寂しい思いをすることでしょう。

勿論部屋の片隅で一人ギターを爪弾いて歌うのだっていいのです。部屋の隅で振動する木は、次第に部屋自体を共鳴させ、部屋は家を鳴らし、外に飛び出して世界を鳴らし始めます。それを聴いているのが、今演奏しているあなただけだったとしても、あなたはそうやって世界と会話をし、自分の内面深くとコミュニケーションをとっているわけです。

音楽とはそのように純粋で、誰にでも出来ることだからこそ美しいのだと、こんなにも根本的な事を僕は改めて発見することができました。そして、木一つ一つがどれも違った音を出すように、音楽を作り出す僕たちも、一人一人がどれも違った音を出さなければいけません。僕はなんとなくしばらくの間忘れてしまっていたことを、思い出せたような気がするのです。

喫茶店に戻り美味しい珈琲を頂いた後、ハーパーズミルには別れを告げ、甲府市内を少しドライブしてからほったらかし温泉に寄りました。昼には雲に隠れていた富士山もようやく夕方に姿を現し、それを見ていたマッチ君が名言を思い付いたと発表してくれました。
「富士山よ、見上げているか見下げているか、それは自分次第」
行きの中央高速、調布から新宿方面に乗ったあのマッチ君の名言でした。ざぶーん。

0 件のコメント: